ネット依存症 (2005/11/27

朝日新聞 be on sunday 2005年11月27日 日曜日 3面

ネット依存症 遅刻・欠勤増えたら注意

 「同僚が待ち合わせ先に、無線ネット使い放題の喫茶店を指定された。相手は、約束の時間までオンラインゲームをしていたといい、仕事中もネットのことばかりを考えているという。

 「ネット依存症は確実に増えています。最近は常時20人ほどの患者さんを治療しています」
 東京世田谷区で開業する成城墨岡クリニックの墨岡孝院長は話す。ネットの中で別な人格を演じるうちに、現実の世界との区別がつかなくなってしまう極端な例も出てきたという。
 ある男性(28)は、3年前に中堅商社を辞めて家に引きこもり、不特定多数の相手とコミュニケーションを楽しむチャットにのめり込んだ。ベンチャー企業の社長になりすまし、高級車を乗り回しているなどと、うその成功話を誇示した。
 ネットショッピングなどで高額な腕時計を買うなど経済的な破綻状態に。言動もおかしくなり家族が相談に来た。
 墨岡さんは、これまでに約100人の患者を診ている。定額で使い放題というサービスが普及し始めた5,6年前から目立ち始めたという。メールやチャット、流行の日記風ウェブサイトのブログなど、相手の反応をみながら指先で好き勝手な書き込みができる仕組みに熱中し、エスカレートする場合が多い。
 ネット上では、本名を名乗らず、匿名で活動できる。実際とは違って雄弁になったり、本音をさらけ出したりできる点が、拍車をかけているようだ。
 遅刻が増えたり、無断欠勤が続くようだと危険信号。ネットに熱中するあまり、社会生活を営むことが困難になった場合を依存症とする。家族や職場の同僚が異常に気づいて心療内科などを受診させ、表面化する場合が多い。
 人と話すことが苦手で内向的。きちょうめんな性格の20〜30代の男性に多い傾向がある。
 治療はまず、医師とのカウンセリング。本人が自覚すれば、もともと論理的なので回復に向かいやすい。ネットを使った時間を毎日記録させ、次第に減らすように指導していく。1日2時間以下に抑えられれば、治療はほぼ終わる。
 問題なのは、職場でも家庭でもネットがなくてはならない存在になりつつあることだ。
 ネット依存症の診断テストを提案した専修大学の長田洋和助教授(精神保健学)は「長時間にわたってネットを利用する職場もあり、正常と病的の区別がつきにくい。思い当たる節が多い人は、予防という観点からも病的な使い方をしているかどうか自覚してほしい」と話している。(平子義紀)



 最近ブログをやり始めた私も、以前に比べるととても多くの時間PCに向かうようになりました。病的なくらい打ち込むほどなら危険かもしれませんが、私自身をもっと良く知って頂いたり、交流する手段として活用するつもりですからご安心を。
 それにしても、引きこもりや自立できない子供に育ててしまうのは、社会が裕福になり過ぎたせいでしょうか。我慢させること、社会や他人に迷惑をかけないことなど、当たり前の倫理観を育む事は、大人の責任だと思います。社会人として注意し、監視しあい正しく導いて行きたいものです。
 いずれにしても偏った考え方、偏った行動、偏った社会にならないよう気を付けましょう。(田中広江)